美人っていうのは、とくになにもしなくとも男に声をかけられます。そしてその中には金持ちはイケメンもいるわけでして、美人はそういう男性を選べる権利があるのです。したがって、自分の強みを活かしにくい出会いアプリというのは、あまり使わないでしょう。
出会いアプリは基本的に『現実世界ではイマイチモテない男女』が使うことが多く、私もそういう男の1人でした。顔は平凡で、収入も多くはありません。強いて言えば節約に慣れているおかげで、年収のわりには貯金が多いのが自慢でしょうか？
とはいえ貯金をいきなり女性に教えることもないから、出会いアプリでもさほどモテませんでした。そんな中、A（仮名）という女性と偶然仲良くなりまして、私は「このチャンスを逃してはいけない！」と思ったのです。この時点では、Aが美人だとは思っていませんでした。
Aには失礼な話ですが、私は「美人ならこういうアプリも使わないし、Aも多分普通かそれ以下の容姿だろう」と決めつけていて、私にピッタリだと思ったのです。私だって美人は好きですが、身分相応という言葉は知っていました。
ちなみにAはアニメや漫画が好きでして、私もそういう娯楽は好んでいたから、好きな話題で盛り上がれたのです。会話で盛り上がらない限りはデートもできないので、共通の趣味があっただけでもAはお気に入りでした。
Aとは少ししてからデートが実現しまして、最寄りの駅構内で待ち合わせたのですが…指定した場所に立っていた女性があまりにも美人だったので、「あれ？まだ来てないのか？」と本気で思ったのです。しかし待ち合わせ時間も迫っていたので、声をかけたのですが…。
その美人が「はい、Aです」と返事をしてくれて、私は言葉を失いました。顔のパーツはほぼ全てが完璧に整っており、私が隣に立つと恋人には見えないでしょう。ともすれば、芸能人にスカウトされそうなレベルです。
そんなAがなぜアプリで恋人を探していたのか、その理由はしばらくしたら分かりました。Aと会うときは趣味の話が多かったのですが、その際に「実は私、BLが1番好きなの…」と言ったのです。BLは男性同士の恋愛を描くもので、Aはいわゆる腐女子でした。
こうした趣味ゆえに美人ながらも恋人が作れず、出会いアプリを使って理解してくれそうな男性を探していたのです。Aの容姿だけを見て声をかける男性は、趣味の話をすると大抵は引くらしいので…。
ちなみに私は趣味については余計な口出しはしなかったので、無事に美人のAと付き合えましたよ。
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